とっておきの言葉

少し前、高松にある古道具屋さんの店主の方と少しお話をする機会があった。
本当に30分くらいの間だったけれど、その方がふいに、子どもの頃の話を始めた。

「古い映画館があったんです。子どもの頃そこに父と通っていて、大きくなって映画館が閉館になる前に見に行ったら、そこに父がいました。
父も見に来ていたんです(笑)」というお話だった。

私の前には見たこともない少年とお会いしたこともないお父さんが立っていて、古い映画館で楽しそうに肩を並べる姿が見えた。

たまたま寄った本屋さんで立ち読みしたらものすごい素敵な本に出会ったような感動だった。

その感動を語彙力のない私はうまく表現できず、伝えることもできず、「また、遊びに来てください」という意味不明なことを言ってしまった。

私にとって、とっておきの話というのがある。

うまく言えないけど、急に始まって、その瞬間に自分もそこにいるようで、幸せな時間を共有したような一瞬のようで永遠みたいな時間。

学校に出る前に娘が振り返って「あぁ、お母さん、昨日帰りにイチジクが、緑のイチジクがなり始めとったわ」

クリーニング屋さんの方が、「昨日、お鍋食べたんよ」

だったり、何の準備もしていない時にやってくる。

そのたびに私はその余韻にひたりながら、とっておきの言葉を繰り返す。

2024年3月8日

「風流踊」

3月になりました🌼
暖かい日がふえて、菜の花のにおい。
春の始まりを感じています。

昨年秋に、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「風流踊」を発信していきたいという方にお会いしました。
恥ずかしながら、風流踊を知らなかったのですが、「風流踊」とは日本各地で伝えられてきた歌や笛、太鼓、鉦などに合わせて踊る民俗芸能で、
香川県にも、「綾子踊」や「滝宮の念仏踊」などがあるそうです。
除災や供養、祈願、いろいろな願いを込めて作った踊りですが、年々担い手の減少や高齢化で、継承が難しくなっているそうです。
若い層の方々にも知ってもらいたい。ネットで発信したり、わくわくするようなカードを作れたら楽しいかも!と熱意をこめてたくさんお話して頂きました。
是非、何か力になれることがあれば!ということで、スタートしたお仕事。

私たちもお神楽が好きで、夏になると近くの神社に見に行きます🍉
踊りももちろん素敵だけれど、観る人を飽きさせない面白い小話も大好き。
今年も行くと、お神楽を踊っている方が熱心にお話をしてくださいました。
お酒を持った神様が観ている人にふるまう。
子どもや、飲めない人にはふりだけして、皆笑いながら頂く。

おじいちゃんも、おばあちゃんも、子どもたちも。

笑う門には福来る。

こうやってずっと幸せを願って伝えてきた。

素敵な日本の伝統芸能だと思う。

見に来る人や、子どもが少なくなっているのが悲しかったから、微力ながら何かこういった事に貢献させて頂くことが本当に有難いです。
「風流踊」のサイトはこちら↓

2024年3月4日